MtSN新春企画・鏑木毅×石川弘樹トークイベントが開催

 

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いまだから話せる、レースの思い出話

2月1日(日)、MtSN(山と渓谷社)主催による『新春企画・鏑木毅×石川弘樹トークイベント』が開催されました。会場は、使われなくなった中学校校舎を再利用した東京・千代田区の「3331ArtsChiyoda」です。

これまでお二人でのトークイベントは行ったことがなかったという鏑木毅さんと石川弘樹さん。会場は、たくさんのファンで賑わいました。

司会進行は、MtSNプロデューサーの宮崎英樹さんと、走るアナウンサーの浅利そのみさん。まずは、鏑木さんと石川さんが手がけた書き初めのお披露目からスタートです。鏑木さんは「義」、石川さんは「開拓」の文字を選びました。それぞれの言葉に、今年一年の想いや決意が込められているようです。

トークイベント第一部は、お二人のこれまでの活動を振り返りつつ、一緒に走ったレースの思い出話など。

2002年、広島県比婆山の大会に出場した際、偶然にも同宿だったというお二人。ハセツネで優勝を飾ったばかりの鏑木さんからシューズを見せてもらったという石川さんのお話が印象的でした。

そのシューズはなんと、陸上トラック用のスパイクシューズ。「いまでは自然保護の観点からも、絶対に考えられませんよね」と鏑木さん。「その頃は自分にとって、一番ギラギラしていた頃かもしれません」と振り返ります。

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チャリティオークションも実施。鏑木さん、石川さんの
愛用品が出品され、希望者は入札額をシートに書き込んだ。

 

お互いがプロデュースしている大会についても触れ、石川さんから鏑木さんへ「ぜひ信越五岳トレイルランニングレースにも出場してください。僕もUTMFに出たのですから(笑)」とのオファーが。ここで場内から盛大な拍手!

それに対して鏑木さんは「日本で唯一、ペーサー制度を設けている信越五岳は、以前からずっと出てみたいと思っていたんです。でも秋はUTMBがあったりして、なかなかタイミングが合わなくて。いつかぜひ実現させたい」と応じました。

さらに信越五岳のコース延長についても話がおよび「開催当初から、いずれは100マイルレースにしたいと考えていました。UTMFに先を越されてしまいましたが、もちろん、やりますよ!」と石川さんから100マイル化計画の予定も飛び出しました。

 

 それぞれ「料理人」「映画監督」のようにレースをプロデュース

第二部には、TJAR三連覇中の望月将悟さんも登場。お二人よりも少し後輩にあたる望月さんからの質問という形で、トークは続きます。

鏑木さんを憧れの先輩と仰ぐ望月さん。かつて一緒に国内レースに出場していた頃は、いつも鏑木さんのすぐ後ろを走っていたのだとか。あまりにぴったりと近づきすぎて、よくシューズがぶつかったといいます。

その時の様子について鏑木さんは、「望月さんに先に行ってもらおうとトイレに入ると、出てくるのを待っているんですよ(笑)」と苦笑い。望月さんの明るいキャラクターもあり、困った顔ができなかったそうです。

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レースプロデュースについての質問では、石川さんはご自身を「料理人」と表現。レースの前夜祭に始まり、気持ちよく走れるトレイル、感動のゴールシーンに至るまで、まるでコース料理のように絶妙なバランスを保ちながら流れていく石川さんの大会は、その言葉どおり、完成度の高い料理の世界と似ています。

一方で鏑木さんは「映画監督のようにプロデュースしている」といいます。「盛り上げて、一度落としてから(笑)、エンディングへと繋げていくんです」。鏑木さんの大会を思い起こすと、まさに厳しさと歓喜の融合というイメージ。すべての人に、ドラマティックな展開が待ち受けています。参加者の皆さんも深くうなずいていました。

 

アスリートのモチベーションアップ法は?

第三部は、江田良子さんによるトレーニング・レッスンです。日常生活ですぐに取り入れられる、全身を使ったエクササイズが紹介されました。

参加者のみなさんも江田さんの動きを見ながら実践します。

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途中からは、お三方も加わってエクササイズ。

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そして、4名並んでのトークショーへ。モチベーションが落ちたとき、どう対処しているかという質問では…

鏑木さん:ちょっと恥ずかしいのですが、UTMBなど自分のDVDを見ます。
石川さん:今が一番悪い状況なのだから、後は上がるだけだと考えます。
望月さん:僕はモチベーションが下がったことがないんです!怪我した時には、神様が休めといっているのだととらえます。
江田さん:怪我をするとどうしてもモチベーションが下がりますが、そういう時には走ること以外のトレーニングをするチャンスと思い、他の部分を強化しています。

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これからの活動については…

鏑木さん:マルコオロモ選手を目標に、競技人生を続けていきたいですね。年齢とともにできなくなることもあるかもしれないけれど、ずっと走り続けていくと思います。
石川さん:未知のトレイルを走ったり、新しいレースに出たりして、それをみなさんにお伝えできればと思っています。
望月さん:海外レースに出てみたいですね。トレイルランニングの楽しさを広めながら、山岳救助隊の立場として、安全についても伝えていきたいと思っています。
江田さん:走る喜びをもっと伝えていきたい。そして、新しいことにもチャレンジしたいです。

最後に鏑木さんから、「スタイルこそ違うけれど、石川さんも僕もトレイルランニングの良さは自由なところだと思っています。競技だけではなく、楽しめるスポーツとして確立していくことを願っています」とのメッセージがありました。

この後、鏑木さん、石川さんが愛用品を出品したチャリティオークションの落札者を発表。オークションで集まったお金は全額、昨年マッターホルンで消息を絶った相馬剛さんの捜索活動を支援するため「Fuji Trail Head」後援会に寄付されます。

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会場では、相馬剛さんが愛用した冷却シート「コールドシート」の特別セットも
販売。こちらも売り上げは全額「Fuji Trail Head」後援会に寄付されるという。