2026年春夏、パタゴニアのベースレイヤー「キャプリーン®」が刷新


先ごろ、パタゴニア東京・ゲートシティ大崎で開催された「キャプリーン®」の最新モデルを体感するセッションに参加してきた。2026年春夏シーズン、パタゴニアのベースレイヤー「キャプリーン®」は大きな進化を遂げ、ラインアップが刷新。とくに期待値が高そうなモデルは、発汗量の多いシーンに最適な薄くて軽い「キャプリーン・クール・ウルトラ」、厳しい紫外線にも対応する「キャプリーン・クール・サン」だ。

まずは、ラインアップから。

パタゴニア東京・ゲートシティ大崎にて。薄さと軽さが目を引く「メンズ・キャプリーン・クール・ウルトラ・シャツ」

4つのモデル「デイリー」「トレイル」「ウルトラ」「サン」

2026年春夏に新しくなったキャプリーン®は4モデル。それぞれの特徴を簡単に紹介してみたい。

1)キャリーン・クール・デイリー
エントリープライスで汎用性が高いモデル。普段着からスポーツまで幅広いシーンに対応可能。汗を吸収し、動きに合わせて伸縮するようにつくられており、暑いときにも涼しく感じるシルクのような生地を採用している。

展開はメンズが「半袖」「ロングスリーブ」「フィーディ」「スリーブレス」など、ウィメンズが「半袖」「ロングスリーブ」「フーディ」「タンク」など。

メンズ・キャプリーン・クール・デイリー・シャツ(Shore Blue) 

2)キャプリーン・クール・トレイル
ソフトで通気性が高いモデル。コットンのような柔らかさと汗を吸収する性能を提供。オープンニットの生地は肌から湿気を引き離し、長時間の気化冷却を実現。「トレイルランナーに人気の高かった旧製品リッジフローに近い風合いともいえます」(パタゴニアスタッフ)。

展開はメンズ、ウィメンズともに「半袖」「ロングスリーブ」

ウィメンズ・キャプリーン・クール・トレイル・シャツ(ストラタピークス/Dyno White)


3)キャプリーン・クール・ウルトラ
今シーズン注目のモデル。超軽量、吸湿性と速乾性がもっとも優れている。ハニカム構造(蜂の巣状に立体的な編み目を持つ構造)を採用して空気の流れを促進し、熱と湿気を瞬時に発散。大量の汗をかいてもドライに保つ。心拍数の高いアクティビティや冬のベースレイヤーとして年間を通じて使用可能。「トレイルランナーに向けた旧製品リッジフローを上回るパフォーマンスを持ち、より幅広いアクティビティを想定したつくりになっています。真冬にバックカントリースキーのベースレイヤーとして着用したところ快適でした」(パタゴニアスタッフ)。

展開はメンズ、ウィメンズともに「半袖」「フーディ」「タンク」

メンズ・キャプリーン・クール・ウルトラ・シャツ(Bobcat Brown)
メンズ・キャプリーン・クール・ウルトラ・タンク(Blue Sage)
ウィメンズ・キャプリーン・クール・ウルトラ・フーディ(Light Violet)

4)キャプリーン・クール・サン
吸湿速乾性と40+UPFという高い紫外線防止機能が特徴のモデル。繊維に酸化チタンを練り込んだフルダル構造により、高い通気性と快適性を保ちながら、洗濯を繰り返して落ちない日焼け防止効果を実現している。海での使用も想定しており、チェストポケットには、耐腐食性に優れたプラスチック製ジッパーを採用。

展開はメンズ、ウィメンズともに「ロングスリーブ」「フーディ」

メンズ・キャプリーン・クール・サン・フーディ(Crisp Grey)

環境負荷を考え、アップデートし続けるテクノロジー

環境負荷やパフォーマンスへの影響を考慮し、常に新しい技術を導入してきたパタゴニア。2つの最新テクノロジーについてポイントを紹介。

植物由来の防臭テクノロジー「ハイキュ・ミント」
発汗量の多いアウトドアシーンで気になるのは臭いだ。パタゴニアでは環境負荷や再生可能性などを考慮し、通気性と吸湿発散性と肌触りに妥協しない、責任ある防臭加工技術を見つけることに尽力してきた。現在では、植物由来の防臭加工「ハイキュ・ミント」を採用している。ここで使用される食品グレードのミントオイルは、水蒸気で植物から直接抽出され、他の溶剤や添加物を使用していない。生地に結合して高い安定性を保つため、ウェアを着用して油っぽさを感じたり、ペパーミントの香りがしたりすることもない。化学的な構造レベルで機能する防臭加工技術。

UPF(紫外線防止指数)テクノロジー
かつて製品カラーによってUPF値のばらつきが生じたことを教訓に、パタゴニアでは厳格なテストを行いながら開発を進めている。現在は、多くのサンスクリーン製品に含まれているリーフセーフ(海での使用が安全)な有効成分に類似する、二酸化チタン添加物を糸に練り込む技術を採用。持続性の高いUVプロテクションにより洗濯でも効果が落ちない。

1985年に誕生したキャプリーン®は2026年までにどう変化したか

今回のセッションでは、キャプリーンの前身から1985の誕生、そして時代とともにどのような変化を遂げてきたかも語られた。2000年代半ばあたりから記憶にある製品も登場し、とりわけ興味深かった。

せっかくなので、40年に渡るキャプリーンの歴史を少し振り返ってみたい。

1980年/前身としてポリプロピレン製のアンダーウェアが登場
キャプリーン®の前進として、船舶用ロープに使われていた疎水性繊維に着目し、水を含まない特性によって肌をドライに保つことを可能にした。革新的な素材だったが、皮脂を保持しやすく乾きにくかった。

1985年/キャプリーン®の誕生
ミリケン社と共同開発したポリエステル素材「キャプリーン」を発表。キャプリーン®という名称は、毛細血管現象を意味する「Capillary(キャプラリー)」とポリプロピレンなどの素材の語尾に使われる「ーlene(リーン)」を組み合わせた造語。繊維表面を親水化する技術により、汗を肌から引き離し、広げて素早く乾かす仕組みを実現した。当初は“アンダーウェア”として紹介されていた。

1988年/耐菌・防臭加工を導入、宇宙での実証
洗濯しても効果が持続する繊維定着型の耐菌・防臭加工を、業界に先駆けて導入。同年、キャプリーン®・エクスペディション・ウェイトが、スペースシャトル「ディスカバリー」「アトランティス」の搭乗員に採用された。デナリ遠征経験を持つ元宇宙飛行士の推薦によるもので、極限環境における信頼性を証明する出来事となった。

1992年/シルクウェイトやストレッチが登場
シリーズが大きく拡張され、シルクウェイトやストレッチ・キャプリーン®が登場。極細繊維とキャプリーン®仕上げを組み合わせたシルクウェイトは、軽さと肌へのやさしさを実現する。ライクラを用いたストレッチモデルは、動きやすさと吸湿発散性を両立した。スポーツブラや T シャツなども登場。

1995年/パッケージに“スシロール” を導入
製品を巻いて必要最小限の資材で包む「スシロール」パッケージを導入。ごみを減らし、環境負荷を下げるというメッセージを、製品そのもので伝える試みだった。同年、キャプリーン®を裏地に使った Go-T を発表し、マルチスポーツ対応のテック T という新しい可能性が広がっていく。

2000年/アンダーウェアからベースレイヤーに
「アンダーウェア」から「ベースレイヤー」へと正式に位置づけを変更。単なる下着ではなく、レイヤリングシステムの基盤としての役割が明確になった。行動時間や環境条件に応じて体温と快適性を調整する、というパタゴニアのレイヤリング哲学が、より広く共有されるようになる。

2006年/保温性で4つに分類。再生素材の採用も 
保温性に基づく「キャプリーン®1〜4」システムを導入。多くのモデルで再生素材を採用し、環境への配慮を強化した。天然由来成分を使った防臭加工も取り入れ、機能性と責任あるものづくりを両立。また同年、責任をもって調達されたメリノウールのベースレイヤーも登場した。

2013年/ポリジン®による防臭
臭いの原因となるバクテリアの繁殖を抑えるポリジン®加工を採用。洗濯回数を減らすことで、水やエネルギーの使用量削減にもつながるアプローチだった。製品のパフォーマンスだけでなく、使用後まで含めた環境インパクトを考える姿勢が、キャプリーン®にも反映されていく。

2015年/ライトウェイト、ミッドウェイト、サーマルウェイトに整理
ラインアップを「ライトウェイト/ミッドウェイト/サーマル・ウェイト」に整理し、選びやすさを向上。日常使いにも対応するキャプリーン®・デイリーが登場し、アウトドアと日常を横断する存在へと進化した。機能性と着心地を両立した、現代的なベースレイヤー像が明確になる。

2018年/キャプリーン®・エアの登場
3D ニット構造とエアブラスト技術を用いたキャプリーン®・エアを発表。メリノウールとキャプリーン®を組み合わせ、軽さ、通気性、保温性を高い次元で実現した。縫い目の少ない構造により、動き続ける寒冷環境での快適性を追求したモデル。

2019年/キャプリーン®・クールのシリーズが登場
キャプリーン®・クール・デイリー、クール・トレイルを展開。ベースレイヤーにとどまらず、暑い季節のテック T として位置づけられた。速乾性と伸縮性、肌触りを両立し、再生可能原料由来の miDori™ bioSoft 加工も導入。

2021年/キャプリーン®・クール・メリノの登場
RWS(レスポンシブル・ウール・スタンダード)認証メリノウールとリサイクルポリエステルを使用。自然な温度調整機能と防臭性を備え、多様なコンディションに対応する一着として設計された。動物福祉と土地への配慮を、素材選びを通じて表現している。

2026年/次世代アップデート
40 年以上にわたり進化を重ねてきたキャプリーン®が次世代アップデート。さらなるパフォーマンス、快適性、そして環境への責任を追求しながら、パタゴニアのレイヤリングの中核となる。

「キャプリーン・クール・メリノ」も秀逸

個人的にもっとも愛用しているキャプリーン®は、今回の新ラインアップには登場していないが継続販売されている「キャプリーン・クール・メリノ」。柔らかな肌触りで洗濯を繰り返しても風合いが変わらず、汗をかいた後に冷たい風が吹いたり、冷房の効いた空間に入っても汗冷えしないところが気に入って3シーズン着用している。とはいえ、灼熱の真夏には若干暑いので、今シーズンは「キャプリーン・クール・トレイル」や「キャプリーン・クール・サン」を取り入れて、シチュエーションごとに試してみたい。

製品の詳しい情報は、直接パタゴニアショップにてご確認を。


パタゴニア公式サイト
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